「経済専攻でなくても銀行員になれますか?」海邦銀行が明かす“3つの必要な力”
「経済専攻でなくても銀行員になれますか?」海邦銀行が明かす“3つの必要な力”

沖縄タイムスでインターンをしている大学生が、各企業の採用担当者にインタビューする企画。琉球大学の2人が、学生ならではの視点でズバリと聞いた。今回は、沖縄海邦銀行人事総務部の山里和弘さんに話を聞いた。

売上高の約8割が融資による収入 想像以上に多くの相談

沖縄海邦銀行は「かいぎん」の愛称で知られる地方銀行で、沖縄県内に50支店ある。個人や企業に預金、融資、為替などの幅広いサービスを通じて金融面から支援していくことが、主な事業内容だ。

銀行には多くの業務があるが、大きな収益源は融資だ。例えば、車の買い替え、子どもの教育ローンなど、個人でもまとまったお金が必要な場面がある。海銀では、売上高の約8割が融資による収入で、そのうち約8割を企業向けが占めている。事業を進めたり、大きくしたりするには資金が必要だ。銀行で働いてみると、想像以上に多くの相談があるというところも見えてくるという。

理系出身も活躍 業務で求められる「3つのコミュニケーション能力」

山里さん自身は理学部物理系の出身で、「どんな人でも大丈夫です」と話す。重要なのはコミュニケーション能力で、3つに分けられる。

1つ目は「お客さまが何を求めているのか」を受け止めること。例えば、子どもの口座開設で訪れたお客さまには、「今後の進学のために今から教育ローンを積み立ててみては」と提案する。2つ目は「上司に伝える力」。融資では、企業から相談を受けた後、上司に内容を説明して決裁をもらう必要がある。上司にもそれぞれ考え方があるので、企業と上司の間に入って調整する力も必要だ。3つ目は「横の連携」。銀行は大切な情報を扱っているので、一人でできる業務がほとんどなく、必ず誰かに確認してもらわなくてはならず、互いに支え合っている。山里さんは「一人でできることは掃除くらいです(笑)」と語った。

役員面接で「おいしいご飯屋さん」を聞かれる理由とは?

選考は、エントリーシート(ES)と筆記試験「C-GAB(シーギャブ)」による一次選考、グループ面接、役員面接という流れだ。昨年は役員面接の前にグループワークも実施した。

特徴的なのは役員面接で、受験生と役員たちがテーブルを囲んで和気あいあいとした雰囲気で行う。志望動機は聞くが、「(出身地の)おいしいご飯屋さんってどこ?」といった質問が出てくることもある。人となりやこれまでの経験を見ているという。

「人生の引き出しを増やして」 学生時代にやっておくべきこと

資格取得も大切だが、学生のうちは友達と遊んだり、アルバイトをしたり、旅行をしたりと、学生だからこそできる経験をたくさんしてほしいと山里さんは話す。さまざまな経験をすることで人生の引き出しが増え、お客さまとの会話の幅も広がる。その結果、お客さまに親しみを持ってもらい、信頼関係を築くことにつながる。

一方で、海邦銀行では昇格・昇進の際に資格取得が必要で、簿記3級も資格要件の一つ。学生のうちに取得しておけば、就職後の時間的なアドバンテージになるという。

男女比おおよそ半々で女性支店長も 変化を前向きに楽しめる人が向いている理由

現在の海邦銀行は男女比がおおよそ半々で、女性の支店長もいる。以前は男性が企業への融資、女性が窓口業務という役割分担もあったが、現在は女性も法人営業など幅広い分野で活躍している。今後は女性の役員や部長職も増えていくと考えているという。

向いている学生については「前向きに、さまざまなことへ挑戦できる人」と話す。銀行業務は変化の多い仕事で、数年ごとに人事異動で配置が換わり、窓口業務から企業の社長への営業まで担当する仕事も変化する。転勤によって職場や住む環境、お客さまも変わるため、一つのことだけを突き詰めるよりも、変化を前向きに受け入れ、新しい環境に適応できる人が求められる。

「銀行を超えた存在へ」 沖縄の人や企業を支え、自らも成長できる魅力

海銀は、模合の仕組みを金融システムにした無尽会社をルーツとしており、戦後の沖縄で相互扶助の精神を大切にしながら地域の復興や経済の発展を支えてきた。そのため、既存の銀行よりもお客さまとの距離をもっと縮めたい、「銀行を超えたい」との思いがある。

また、沖縄の貧困問題の解決を目的とした基金の設立や、地域活性化、DX支援などを行っている。那覇市の国際通りでは海銀が支援する企業のテストマーケティングの場も設けている。「お客さまの役に立てる一番身近な銀行」を目指していることが、このスローガンに込められている。

最後に、就職活動を始める大学生に向けて、海邦銀行で働く魅力を2つ挙げた。1つ目は、金融の力を使って個人や企業を支援できること。融資を通して企業の成長を応援し、担当者の努力によって企業を助けられる場面もある。2つ目は、自分自身の成長につながること。金融は多くの人の生活に関わるため、仕事で得た知識や経験は自分の人生にも生かせる。沖縄の人々や企業を支えながら、自分自身も成長できることが、海邦銀行で働く大きな魅力だと話した。

編集後記 琉球大インターン生の気づきと学び

外間久紗乃さん(20)=琉球大学国際地域創造学部3年次=は、初めての取材として海邦銀行を訪問した。銀行には真面目で厳しいイメージを持っていたので緊張したが、とても明るく楽しそうにお話ししてくださった。取材後に記事を書くにあたって、限られた字数の中でどの情報が重要なのかを考え、伝える内容を選ぶことに難しさを感じた。今回の経験を生かし、聞く力と伝える力を身につけていきたいと話した。

知念七美さん(21)=琉球大学国際地域創造学部1年次=は、大学生として人事担当の方に直接、就職活動の疑問を投げかけられた大変貴重な機会だったと振り返る。実際の記者の行動を間近で見ることができ、質問して回答をもらうこと以外にも、気を配る点があることを学んだ。記事を書くなかでは、インタビューでの海邦銀行さんの熱意のこもったお話を、読み手に最大限わかりやすく伝えることに四苦八苦したが、無事に書き終えることができたと話した。