「米軍基地なくせ」理由が中国?動画300万回表示も偽情報と判定<2026知事選ファクトチェック>
「基地なくせ理由は中国」動画は偽情報 300万回表示

「沖縄県の皆さんに届け!」と題してSNSに投稿された動画が、Xとインスタグラムで合計300万回以上表示された。この動画は、玉城デニー知事が「米軍基地をなくせ」と訴える理由が中国にあるとする内容だが、沖縄タイムス社のファクトチェックで「偽情報」と判定された。

動画の内容と拡散の経緯

知事選告示翌日の8月28日、「すべざりえ」と称するX(旧ツイッター)のアカウントから「沖縄県の皆さんに届け!」というメッセージが添えられた4分19秒の動画が投稿された。自民党元衆院議員や参政党地方議員らが拡散し、251万7千回(9月3日午後8時時点)表示されている。同様の動画は同一人物とみられる「元TBS社員」のインスタにも投稿され、Xとインスタを合わせると表示回数は300万回を超えている。

動画は、「沖縄県知事選挙。その前に沖縄の皆さんにどうしても知ってほしいことがあります」と切り出し、まず辺野古転覆死亡事故を巡る玉城知事らの動きを紹介。中盤からは中国脅威論を展開し、「沖縄を自分たちの手で守り抜きましょう」と投票を呼びかけている。

なぜ偽情報なのか

動画では、「知事が必死に『米軍基地をなくせ』とさけんでる理由がわかってきた?米軍基地があることで一番嫌な思いをしているのは誰?そう、中国だよ」と語り、玉城知事の基地反対の理由と中国の意向を結びつけている。

しかし、玉城氏を含めて、歴代の沖縄県知事が基地の整理縮小や新基地建設反対を訴えてきたのは別の理由だ。日本全体の国土面積の0.6%しかない沖縄に在日米軍基地の約7割が集中させられている理不尽さ。そして、軍用機の度重なる墜落事故や米軍人等による殺人、性的暴行、強盗等の凶悪犯罪、騒音、有機フッ素化合物(PFAS)による汚染などの基地被害に県民が苦しめられてきたからだ。今回の知事選では、玉城氏だけでなく、新人の古謝玄太氏も「沖縄の基地負担軽減にも着実に取り組む」と訴えている。

動画の他の問題点

この動画はほかにも問題を抱えている。例えば、玉城知事が2019年に訪中した際、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」を巡り、「日本の出入り口として沖縄を活用してほしい」と提案した発言を取り上げ、習近平国家主席に沖縄を差し出すようなイメージ映像を盛り込んでいる。しかし、当時の安倍政権が条件付きで一帯一路に協力する意向を示していた時代背景や、玉城氏が2023年には「情報がない」と一帯一路に慎重な姿勢に変わっていることを無視したミスリーディングな構成だ。

また、辺野古転覆死亡事故と結びつけて、玉城知事が笑っている記者会見の映像(6月11日)を流している。玉城知事が笑ったのは別の話題に移った後で、こちらもミスリードだと指摘されている。

判定は、歴代の沖縄県知事は党派にかかわらず、中国への配慮ではなく、基地から派生する事件事故や環境汚染、騒音などの基地被害を受ける県民の思いを基に、米軍基地の整理縮小や新基地建設反対を訴えてきたとして、「偽情報」と結論づけた。