知事選きょう投開票 針路決めるのは有権者だ 異様な言論空間に冷静な投票を
知事選きょう投開票 針路決めるのは有権者だ

第15回県知事選は17日間の選挙戦を終え、13日の投開票日を迎えた。沖縄の針路をどこへ向けるのか。次の4年間の県政を担うリーダーが決まる。

今回の知事選を巡っては、インターネット上で県外からの発信が氾濫し、悪意ある偽情報や差別的な誹謗中傷が飛び交うという、かつてない異様な言論空間が生じている。外部の偏見や干渉で、沖縄の自治と民意がゆがめられてはならない。1票の権利を持つ有権者の冷静な投票行動で、沖縄の未来を開いていこう。

民主主義に触れる一日

13日は県議会うるま市区と島尻・南城市区の補欠選挙、本部町、大宜味村、伊是名村の3町村長選挙、23市町村の議会議員選挙も一斉に開票される。沖縄の民主主義に触れる一日になる。

沖縄県民にとって県知事選は、他県にない重みを持つ。戦後、日本本土では都道府県知事を普通選挙で選ぶようになったが、米軍支配下の沖縄では、琉球政府主席は米国による任命制が続いた。異民族統治という困難な状況の中で、公選制を求める住民の要求が米国を動かし、1968年に住民の直接選挙による主席公選が実現した。

日本復帰に伴う地方自治法の適用より前に、沖縄のリーダーを自ら選ぶ権利をつかみ取ったのだ。主席公選の投票率は89.11%に達し、現在に続く沖縄県民の自治意識や政治意識の高さを形作った原点といえる。

県政交代の歴史と若い世代の役割

復帰から半世紀以上が経過し、主席公選の記憶は社会の中で薄れてはいる。それでも復帰後の4年ごとの県知事選は、県民の歴史体験を呼び起こし、新たな政治史を刻む機会となってきた。振り子のように保革の勢力が県政交代を繰り返してきたのも、県政運営に緊張感を与える有権者の政治意識の発露といえる。

若い世代ほど選挙の情報に触れる媒体がネットやSNSに移るという変化はあるが、一票を投じることが地域のあり方を考える契機となり、沖縄の民主主義を受け継ぐ主体を育てていくはずだ。

大きな分岐点となる知事選

知事選の重みは独自の歴史だけではない。日米安保に基づく米軍基地の駐留が過度に集中する沖縄のリーダーは、国策と県民益の間で政府との交渉など重責を担う。

今知事選は、新人で前那覇市副市長の古謝玄太氏と、現職で3期目を目指す玉城デニー氏が横一線の情勢だ。高市政権の軍事増強路線と対峙する「オール沖縄」の県政が継続するのか、国と協調した沖縄の経済振興を公約にする保守県政が12年ぶりに誕生するのか、大きな分岐点となる。

県民の選択は「基地か経済か」の二者択一ではない。暮らしと経済の向上、基地問題の解決、平和な沖縄、子どもの未来など、有権者は全ての可能性を追求できる。大きな争点に埋もれがちな小さな声をすくいとることも知事の役割だ。

よりよい沖縄のためにどの候補者に思いを託すのか。投票に行こう。一人一人の選択が沖縄の意思を示すことになる。