沖縄予算3000億円台へ 地方自治ゆがめる増額だ
沖縄予算3000億円台へ 地方自治ゆがめる増額だ

政府は、県知事選で自民党などが支援した古謝玄太氏が当選したことを受け、2027年度沖縄関係予算を3千億円台に増額する調整を始めた。米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を容認する古謝氏の姿勢を踏まえての動きとみられる。

増額は「公金からの祝儀」か

増額が実行されるなら、古謝氏当選の祝儀を公金から拠出するようなものではないか。露骨な基地と振興のリンクであり、地方自治の在り方をゆがめるものでもある。

27年度の沖縄関係予算について内閣府は8月末、2897億円とする概算要求を財務省に提出した。県は3千億円台を求めており、年末の当初予算の決定で達成されれば、県の要望通りになる。しかし、このような予算の積み増しに疑問を抱く県民もいるはずだ。

過去最大は2014年度の3501億円

沖縄関係予算は、辺野古移設を容認し、政府の埋め立て申請を承認した仲井真弘多県政の最後の年度となった2014年度が過去最大の3501億円であった。

その後、辺野古移設阻止を掲げた翁長雄志県政が14年に誕生し、15年度の沖縄関係予算から減少に転じた。翁長県政を継いだ玉城デニー県政では22年以降、2600億円台で推移してきた。

今回、予算増額を調整するという政府の兆候自体、自民党などが推した古謝氏の当選効果を県民に示すことになる。しかし、国と地方の望ましい関係とは言い難く、公正性も疑われる。

基地と振興のひも付けは既に強まっていた

基地と振興のひも付けは既に玉城県政下で強まっていた。国が市町村に直接交付する特定事業推進費である。

19年度に創設され、26年度は、過去最大だった25年度と同額の95億円が計上された。予算措置で県を介さず国と市町村が直接つながり、市町村への国の関与が強まることになる。各市町村の首長選でも、政府与党が推す候補にとっては「国とのパイプ」としてアピールポイントにもなろう。地方自治体の自主性を損なう可能性がある。

政府方針にくみする候補者を優遇し、それを有権者に印象づけるような露骨な政策が果たして他府県で認められるだろうか。地方自治への介入ともとれる姿勢を政府は改めるべきである。

古謝氏に求められる姿勢

古謝氏は選挙応援に対するお礼のため上京し、高市早苗首相と面談したほか、自民、日本維新の会など各党代表と会った。辺野古新基地建設や沖縄振興推進で県と政府・与党と協調関係をアピールする場となった。

しかし、辺野古新基地問題などで今後、厳しい要求が国から県に突き付けられる可能性もある。

古謝氏は自身の当選をもって県民多数が辺野古新基地を容認しているとは考えていないと述べている。一方、県庁内で自身の立場と異なる「辺野古新基地建設問題対策課」を改める方針だ。

知事選で県民は国との協調を掲げる古謝氏を選択した。しかし、国益と県民益が対立する場面では県民益に立脚して国に言うべきことは言う姿勢が古謝氏に求められる。県民もそのことを求めているはずだ。