沖縄本島で路線バス事業を営む琉球バス交通、沖縄バス、那覇バス、東陽バスの主要4社が19日に会見し、利便性向上のための連携協定を締結したと発表した。4社は今後「共同経営計画」を作成し、直面する経営課題に共同で取り組む。
地域公共交通を守るための連携
地域公共交通を守るという目標のため、事業者が利害を超えて連携することが期待される。1社単独では難しかったサービスの改善や提供、設備投資に踏み込み、利用者が恩恵を感じる改革につなげることが必要だ。
全国的に路線バスは運転手不足によって減便や路線の廃止を余儀なくされている。沖縄も例外ではない。とりわけモノレール以外に電車のない沖縄において、公共交通機関としてバスが担う役割は大きい。県民の移動の自由を担保するために、県内のバス路線網を維持する必要がある。
長年続く経営の厳しさ
路線バス事業者の経営の厳しさは長年続く課題だ。日本復帰後のモータリゼーション(車社会化)によってバスの輸送人員は急減し、民間各社が担ってきた路線バス事業の収支も悪化した。2000年前後には本島のバス4社の乗り合い部門が経営統合に合意しながら、実現に至らなかった経緯がある。
24年からは時間外労働の上限規制が運転手に適用されて1人当たりの働ける時間が減った。かねてから課題だった運転手不足に拍車がかかり、減便や最終便を早める動きが進んでいる。運転手の処遇改善のための運賃値上げも利用者離れにつながる悩ましさがあり、「共同経営」に踏み出す判断に至ったとみられる。
特例法による独禁法適用除外
従来、バス会社間のダイヤ調整などは独占禁止法が禁止する「カルテル」とみなされる。だが、20年施行の特例法により、事業者が「共同経営計画」を出すことで、独禁法の適用除外を受けられることになった。
今後4社で計画を策定し、運転手不足やダイヤ調整、共同運行の拡充などに共同で取り組むという。これが個々の経営存続のために歩調を合わせ、値上げや不採算路線の統廃合などの合理化ばかりが容易に進むことになっては本末転倒だ。
利用者の視点に立った改革を
利用者の目線に立ったサービスの提供で公共交通の魅力を高め、利用が回復することで事業者の経営が強化される形に徹しなければならない。
那覇市内や国道沿線など乗客が多い収益路線に各社が集中し、バス停で複数のバスがだんご状態になる光景をよく目にする。事業者間でダイヤや運行回数を調整して等間隔でバスが到着するようになれば、1社当たりの運行本数は減っても、かえって利用者の利便性を高める運用も可能だ。
バス乗り継ぎの円滑化や通し運賃の導入、観光客などの新たなニーズを開拓する柔軟な路線設定など、あらゆる手だてを講じてほしい。
公共交通が利用しにくい「交通空白」地区が、県内は国頭村の全域など20市町村に62カ所ある。交通空白の解消のため、計画への行政の積極的な関与も重要になる。