米軍嘉手納基地と普天間飛行場周辺の有機フッ素化合物(PFAS)汚染は、やはり両基地が発生源だった。あろうことか日本政府がそれを伏せていたことも明らかになった。県民の健康や安全を軽視した二重三重の不正義である。
米軍が認めていた汚染源
まず押さえておくべきなのは、基地が汚染源であると米軍自身が認めていたことだ。政府関係者によると、米軍は2023年12月の日米協議で、両基地の消火訓練場からPFASが地下に浸透したとの認識を示したという。政府はこれまで基地と汚染の因果関係を認めてこなかったが、もはやそんな言い逃れは通用しない。
基地内のどの施設からどのようにして外部に漏れたのか。その量や健康リスクは。日米両政府は、詳細な情報を提供する責任を負う。
県の立ち入り調査を拒否
基地周辺でPFAS問題が表面化したのは16年1月。普天間飛行場については県の専門家会議が「基地が汚染源」と結論付けた。ほかの基地についても因果関係が強く疑われている。今回の政府関係者の証言は、それを裏付ける。
23年12月の協議で、米側は基地が汚染源だと認めつつ、県による立ち入り調査は拒否した。防衛省がそれを地元に説明したのは2年後の昨年12月だ。米側は「基地が汚染源であると示す科学的根拠が明確なデータがない」などと主張している。実際には汚染源を把握しつつ、「データがない」と県の立ち入りを拒否するのは筋が通らない。
政府の不誠実な対応
木原稔官房長官は今月8日の記者会見で、基地が汚染源だと米側が日本政府に伝えていたとの報道について問われ、「米側とのやりとりの詳細については答えを差し控える」と述べ、否定はしなかった。事実を知りながら秘匿していたとすれば、不誠実極まりない。
基地への立ち入り調査を求め、県は今年6月に5回目となる申請を米側に出した。もはや拒否することは許されない。日本政府も強く米側に働きかけるべきだ。
今年5月には、各地の市民団体が連携して「PFAS全国連絡会」を発足させた。健康への懸念は全国的に広がっている。なぜ基地が汚染源であることを隠したのか。政府はどこを向いて仕事をしているのか。国民の不信感に、政府はしっかり向き合わなければならない。
浄水場の費用負担も問題
米側に忖度(そんたく)するような日本政府の姿勢は、あらゆる面でひずみをもたらしている。北谷浄水場ではPFASを除去するため、防衛省が費用の3分の2を補助して高機能粒状活性炭が導入された。しかし更新に必要な16億円は県側の全額負担となる見通しだ。
昨年12月の参院環境委員会で宮崎政久防衛副大臣は更新費用について「在日米軍との因果関係が明らかでない中、防衛省による補助は困難」と述べた。誤った認識により沖縄に押し付けるのは筋違いである。国が負担すべきだ。