琉球バス交通、沖縄バス、那覇バス、東陽バスの4社が「地域公共交通の利便増進に関する連携協定書」を締結した。運転手不足の解消や路線バスの利便性向上・利用促進、路線バスネットワークの持続可能性の確保について連携を図る。
路線バスを取り巻く厳しい現状
路線バスは利用者の減少で厳しい経営が続いている。特に新型コロナ禍以降は深刻な運転手不足により減便も余儀なくされてきた。4社の運転者数は2019年に計896人だったのに対し、2025年には686人と2割超も減少している。
路線維持のため県は補助金などで支援するが、人手不足の解消は進まず減便がさらなる収益悪化を招く悪循環に陥っている。加えて近年は燃料高騰ものしかかる。抜本的な経営改革は共通の課題だ。
連携協定の意義と共同経営計画
4社が運転手の募集や処遇改善で足並みをそろえ、「バスロケーションシステム」の利便性向上など利用者を増やす取り組みを協力して行う意義は大きい。
連携協定の最大の目的は「共同経営計画」の作成である。独占禁止法の適用を除外する特例法に基づき計画を作成し、国に共同経営の認可を申請する。競合するバス会社同士がダイヤ編成などを調整することは独禁法で禁じられている。一方、コロナ禍で利用者が減少した路線バスの維持を目的に2020年特例法が施行された。重複する路線の効率化などで利便性を高め経営改善につなげる狙いがある。
今後の取り組みと期待
計画作成に向け4社は今後、プロジェクトチームを立ち上げるという。市街地のバス停では時間帯によって同じ方向のバスが重複している所もあり、ダイヤ調整が進めば渋滞緩和にもつながる可能性がある。定期券を共通で発行すれば乗り継ぎも便利に。複雑な系統の再編など利用者の目線に立った運行が欠かせない。
利便性向上や経営改善を目的とした4社の統合を巡っては20年以上前に話が持ち上がったものの、頓挫した経緯がある。特例法は施行10年で廃止することになっており、これまですでに熊本や岡山など6県で計画が認可された。県は運転手不足を踏まえ連接バス車両導入の検討にも乗り出す。4社の共同経営実現に向け県の積極的な支援も求められる。
交通空白問題と県民の足の維持
鉄道や路線バスの廃止などによる「交通空白」地区が全国で急増している。国土交通省の調査で交通空白は全国892市区町村の2740カ所に上った。県内では国頭村が最多の20カ所で、大宜味と今帰仁両村が4カ所と続く。生活面での不便さにとどまらず、子どもの送迎のために親が短時間勤務を余儀なくされるなど、交通空白は地域の経済成長を阻む「見えない壁」とも言われる。県内の交通空白解消のためにも4社には強い覚悟を持って「県民の足」維持に努めてほしい。