[社説]知事選 子どもの貧困「未来への責任」を語れ 改善も道半ば
[社説]知事選 子どもの貧困「未来への責任」を語れ

沖縄は51年連続で出生率日本一を誇る「子宝の島」である一方、子どもの貧困が深刻な地域でもある。2016年1月、都道府県で初めてとなる県の調査で、沖縄の子どもの貧困率が29.9%に上ることが判明し、社会に衝撃を与えた。見えにくいとされていた子どもの貧困の「発見」から、今年でちょうど10年となる。

対策の成果と残る課題

この間、就学援助制度の周知をはじめ、高校生への通学費支援、中学生までの医療費窓口無料化、給食費無償化拡大などの施策が次々と打ち出された。子ども食堂や無料塾の開設など、官民一体となった取り組みも各地で展開された。

2024年に実施された4回目の調査では、小中学生の子どもがいる困窮世帯の割合は21.8%となり、約8ポイント減少した。しかし、子どもの貧困対策は道半ばであり、次の10年に向けて何をすべきかが問われている。

母子世帯の苦境と支援の網

特に厳しい状態にある母子世帯の苦境から見えるのは、子どもの貧困と女性の貧困が地続きであるということだ。頑張るひとり親からは、努力して収入を上げたら公的支援の枠組みから外れ、逆に苦しくなったとの声も漏れる。親の貧困への積極的なアプローチとともに、支援の網からこぼれ落ちる子どもへの目配りが急務である。

知事選での争点

知事選では、子どもの貧困解消を含む「子ども・子育て支援策」が重要な争点となっている。主要2候補のうち、古謝玄太氏は子育て予算を現行の2倍の1千億円に増やす政策を掲げる。玉城デニー氏は、制度で支援の対象外となる人を支える「ゆいまーる基金」の創設を訴える。

両氏とも医療費や給食費無償化の拡大、給付型奨学金の拡充、ヤングケアラー支援などを施策に盛り込む。貧困問題の可視化がもたらした大きな変化は、子どもの貧困は決して自己責任ではなく、社会全体で取り組むべき課題との認識の定着だった。

労働問題と経済の課題

言うまでもなく子どもの貧困は親の貧困であり、根っこにあるのは労働問題だ。古謝氏は「県民所得倍増」、玉城氏は「稼ぐ力の強化」を訴える。沖縄と本土との格差の代名詞ともなっている1人当たり県民所得は全国最低水準のまま。6次にわたる振計でも克服できていない課題にどう取り組むのか。

人を育て、生産性を向上させ、自立型経済を構築していく――負の連鎖を断ち切る総合的な戦略が必要だ。子どもの貧困解消に向けて、知事が果たさなければならない公的責任は重い。沖縄で生まれた子どもたちが、夢を持ち未来を切り開いていけるよう、確かな方向性を示さなければならない。