内閣府は2027年度の沖縄関係予算として2897億円を財務省に要求した。県が求めた「3千億円以上」の要求額には届かなかったものの、前年度の要求額比で68億円の増となった。2年連続の増額要求だが、手放しで喜べる内容とは言えない。
「特殊事情」を背景とした予算の趣旨に合致するか
今回の概算要求には、高市政権が創設した「『強く豊かな日本』投資枠」を活用した新規事業費が含まれている。この事業費を沖縄関係予算として総額に盛り込んだことが適切なのか、慎重に評価する必要がある。
内閣府の資料によると、新規事業として「フィジカルAI」の開発・実装に向けた取り組みに11億円が計上され、人手不足や生産性向上など「沖縄が直面する課題解決」に向けて支援するとした。
人材不足や生産性の向上は沖縄だけの課題ではない。日本全体が人口減少による縮小社会へ向かう中、国家的な課題解決を沖縄関係予算として計上する必要があったのか疑問が残る。戦後27年間の米国施政権下や離島の点在、米軍施設の集中といった「沖縄の特殊事情」を背景とした沖縄振興策や沖縄関連予算の趣旨と合致しているとは言い難い。
一括交付金は増額もソフト交付金は減額
27年度の概算要求で一括交付金は、前年度の要求額と比べ5億円増の783億円となった。一方、地域の実情に応じて人づくりやサービスなどに使用できる沖縄振興特別推進交付金(ソフト交付金)は1億円の減となった。
その一方で、国が市町村の要望に応じて交付する「特定事業推進費」は前年同額の100億円を求める。県による予算決定の主体性をそぎ、国の関与を強める姿勢が依然として続いている。
「強く豊かな日本」投資枠の課題
高市首相が主導する「『強く豊かな日本』投資枠」は、経済成長につながる投資などで「要求上限(シーリング)」を撤廃した新しい予算枠だ。この枠を通せば各省庁は際限なく予算要求できることになり、実際、各省の27年度概算要求ではこの投資枠への要求が相次いでいる。
政権はこの投資枠の活用を促すが、国家財政が厳しさを増す中、行き過ぎた財政の拡大は市場にさらなる懸念を生むリスクをはらんでいる。各省から積み上げられた政策ごとに、優先順位や効果を検証しなければならない。財政執行の責任との均衡を取らなければ、民間設備投資を促すという同投資枠の目的は看板倒れに終わってしまいかねない。
年末の予算編成に向けて税制改正などの議論が進む中、沖縄関係予算の趣旨や目的をもう一度捉え直し、県民生活や福祉の向上に資する事業の積み上げが必要ではないか。