[社説]「オール沖縄」完敗 民意離れた総括が必要
[社説]「オール沖縄」完敗 民意離れた総括が必要

沖縄県知事選で「オール沖縄」勢力が支援した現職の玉城デニー氏が、新人の古謝玄太氏に14万票余もの大差で敗北した。同時に行われた二つの県議補選でもオール沖縄勢力は勝てず、完敗となった。

オール沖縄の歩みと変遷

2012年、オスプレイ沖縄配備に反対する県民の声が巻き起こり、当時の翁長雄志那覇市長(故人)らが中心となって保革を超えた動きにまとめ上げた。多くの組織の意見の相違をオスプレイ反対と米軍普天間飛行場の県内移設断念に集約し、超党派で翌年の建白書や東京行動などにつなげた。

「イデオロギーよりアイデンティティー」を唱えた翁長氏は、14年の知事選で圧勝。同年の衆院選でもオール沖縄候補が県内選挙区で全勝した。「県民の総意」として新基地建設反対を示した形だが、政府との対立はその時から始まっていた。

影響力の低下と内部の乱れ

振興予算は減額傾向となり、県が求める3千億円には届かなくなった。13年には自民県連が辺野古移設を容認する方針に転換。15年には県内11市のうち9市長が「チーム沖縄」を結成し、勢力の一翼を担った保守政治家や経済人が離脱して影響力は徐々に弱まっていった。

その後、県は辺野古新基地建設工事阻止の長い法廷闘争に踏み切った。県側が最終的に敗訴する一方で、政府との対立関係も固定化した。

知事選は中央の政治状況に影響を受けがちだ。今回は今年2月の衆院選で中道が結成され敗北した影響もあり、オール沖縄を支えていた政治勢力の内部不協和音が表面化した。玉城氏自身も独自色のある政策を打ち出せず、かつてラジオパーソナリティーとして人気を誇ったが、基地問題ばかりとの印象が強くなったのがマイナスポイントだったかもしれない。

今後の課題と総括

オール沖縄にとり新基地問題は「一丁目一番地」だが、今回の選挙の政策集では七つの大項目にも入っていなかった。当日の出口調査では、辺野古移設について賛成が増えたとはいえなお43%が反対している。具体策をもって政府と議論していく戦略に欠けていた。

オール沖縄には、選挙支援する政治勢力としてと、新基地建設反対運動の軸となる二つの側面がある。政治面だけでなく運動においても、3月の辺野古沖転覆事故の影響は大きかった。これまで市長選で連敗しても知事選や参院選のような全県選挙では底力を見せて勝利してきた背景には、露骨な重い基地負担に対する県民の「声なき声」がある。

その声をすくい取れなかったことを重く受け止め、選挙の敗因を総括し、運動面でも活動をどう再構築していくかが問われている。