防衛省の2026年度概算要求は8兆8908億円で過去最大の規模となった。現時点で額が示されていない「事項要求」も並んでいる。防衛費は年末の予算編成に向けて膨らむのは確実だ。
年々増額される防衛費によって、南西諸島の自衛隊の配備強化が急速に進められている。沖縄関係経費は2201億5200万円(歳出ベース)で、前年度の要求額と比べて83億7600万円の増加となり、過去最大となった。
沖縄の要塞化が進む
政府は備えを強調するが、沖縄が戦場になることを想定し、際限なく進められる戦力強化は、県民生活とあまりにもかけ離れている。
沖縄訓練場(沖縄市)に「九州補給処沖縄支処(仮称)」を新設するための整備費247億円を計上した。南西地域で活動する自衛隊の補給拠点として整備し、戦闘を一定期間継続できる「継戦能力」を高める狙いがある。
南西地域での自衛隊の活動の継続を企図したものであり、沖縄の要塞化が一層進むことになる。このような施設を新設することは地域住民の平穏な生活に逆行することは明らかで、攻撃の目標になる可能性もあり、到底容認できない。
病院機能の拡充と警戒監視強化
補給拠点整備のほか、自衛隊那覇病院は民間病院、県立病院との連携を検討し、概算要求には調査研究費を計上した。那覇病院は診療科を増設する方向でもあり、新設が検討されているのは麻酔科と精神科だ。
麻酔科は有事の際の外科対応の増加を見込み、精神科は戦時ストレスや心的外傷後ストレス障害(PTSD)への対応を想定したものである。南西地域で増強された部隊も今後、有事への対応を具体化していくことの表れでもあろう。
自衛隊関連の施設が次々と拡充され、いつの間にか民間病院との連携も模索されるような段階に来ている。県民の不安は高まるばかりである。
警戒監視についても強化拡充が盛り込まれた。航空自衛隊久米島分屯基地にはステルス機などを探知する能力を高めた次期警戒管制レーダーを導入する。
際限ない増額の見直しを
防衛省の目指す「継戦能力」強化は、南西諸島で長期戦に耐える力を蓄えるということである。概算要求は、このほか人工知能(AI)の活用、敵基地攻撃能力(反撃能力)に関し、敵の射程外から攻撃する「スタンド・オフ能力」の強化へ、水中発射型の極超音速誘導弾の開発も始める。
安保関連3文書は年末の改定を控える。その一つで、装備品購入や予算規模を定める現行の防衛力整備計画は最終年度であり、改定計画の初年度にも当たる。そのため現時点では予算を定められないとして、事項要求が多く並んでいる。
概算要求で示されないままにさらに増額されることは、財政規律にも関わろう。のちのち予算が積まれてしまうことで、国会などでの議論が不十分となりはしないか。いつの間にか積み上げられていくような際限のない防衛費の増額を見直すべきである。