ナチス大本営のキッチン裏を舞台に、総統の食事の毒見役に集められた若いドイツ人女性たちの姿を描く映画『ヒトラーの毒見役』が、22日から桜坂劇場で上映される。
戦争に人生を狂わされた女性たち
毒見役に選ばれたのは、愛する人を戦争で亡くした者、若い男性不在の村で恋愛に思いをはせる者、夫の帰りを待ち続ける者など、皆戦争に人生を狂わされた女性たち。さらにヒトラーに命をささげろと言われ、納得できるはずもない。
軍人たちは大きな音をたて、銃を突きつけ、恐怖で手っ取り早く女性たちを言いなりにしようとする。しかし女性たちは次第に毒見に慣れ、少しずつ連帯しはじめる。
連帯が生む穏やかな時間
それは協力して逃げ出すようなことではなく、休憩中に他愛もないことを話し、互いを知り、困っていたら助けながら、恐怖を和らげていくというもの。
女性が集まると自然現象のように穏やかで平和な時間が生まれ、軍人たちさえもその空気に取り込まれる。まるで戦争も毒見役もないことのように。だが、ドイツの敗戦は着実に近づいていた。
(桜坂劇場・下地久美子)
◇22日から桜坂劇場で上映