名護市辺野古沖で小型船が転覆し、研修旅行に参加していた同志社国際高校の生徒と船長が死亡した事故をめぐり、学校法人同志社(京都市)が設置した第三者委員会の調査報告書が公表された。報告書は「安全管理体制などの不備こそが、本件事故発生の最大の原因」と結論づけ、法人と学校側を厳しく批判している。
下見も航路の打ち合わせもないまま
報告書は事故の経緯を詳しく検証し、教員らが海上活動のリスクを十分認識していなかったと指摘。乗船前の下見は一度も行われず、船長との航路の事前打ち合わせもなかった。当日は引率教員が船に同乗していなかったという。
研修旅行は2023年から、辺野古新基地に反対する「抗議船」として使われている小型船を利用していた。報告書は、死亡した船長への「根拠のない信頼」の下で始まったと指摘し、前例踏襲から抜け出せず、毎年の安全性検証も行われていなかったと記述した。
運航側のルールも守られず
事故当日、船を運航していたのはヘリ基地反対協議会だ。転覆した2隻は海上抗議や現場視察に使われており、少なくとも10年以上前から船舶免許を持つメンバーが2人以上乗るルールがあった。しかし今回は守られなかった。
また、亡くなった船長を研修に受け入れていたのは学校との個人的なつながりによるもので、報告書はヘリ基地反対協と海上行動チームの関係の不透明さも問題視している。
報告書公表を受け、ヘリ基地反対協の共同代表は事故原因の究明と再発防止に向けた検証が必要との認識を示した。2隻の船長だけに責任を負わせるのではなく、組織運営上の問題を明らかにすべきだ。
遺族「誰も捜査しないまま終わる不安」
亡くなった女子生徒の遺族は、同志社国際高校の校長ら4人と、ヘリ基地反対協の共同代表ら7人を業務上過失致死傷などの容疑で告訴した。遺族は「誰も捜査しないまま終わってしまうのではという不安があった」として責任の明確化を求めている。
修学旅行や平和学習を通じて他県の児童生徒に沖縄の現状を伝えるためにも、安全体制の確保は欠かせない。事故の再発防止へ、行政と民間の双方による取り組みが求められる。